「知り合い同士で家を貸し借りしたいので契約書を作って欲しい」というご相談を時折お受けします。不動産会社が仲介しない場合は、貸し借りの当事者が予期しないトラブルを防ぐために、きっちりした契約を結ぶことが必要です。
契約書の内容は、個別の契約によって異なりますが、以下のような大きなポイントがあります。
1)契約期間と更新の定め 2)賃料や管理費(共益費)の額、支払い、滞納時のルールなど 3)敷金や礼金について 4)修繕に際しての取決め 5)契約の解除 6)借主からの解約 7)原状回復の範囲と内容8)特約条項
上記に列記したポイントがなぜ大切なのかを理解したうえでないと、役に立つ契約書を作成できません。契約書の雛形は、国土交通省のホームページから「賃貸住宅標準契約書」をダウンロードすることができます。その雛形には大枠は決められていますが、詳細はご自分で考えて書き込んでいかないといけません。また具体的に記載していかないと、「そういうつもりではなかった…」というトラブルになります。不動産会社に仲介を依頼なさると、その担当者は取引の実務に慣れていますから、そんなに苦にすることなくケースバイケースの契約書を作成して契約の仲立ちをしてくれます。でも、知り合い同士で、「貸しましょう」、「借りましょう」の基本合意ができている場合は、仲介手数料を払うことを躊躇してしまうことでしょう。その場合はそれなりの苦労をして、役に立つ契約書を作成する必要があります。前述の1)から8)までのポイントのうち最も大切なのが、8)特約条項です。決して、特約条項なしという契約書は作らないでください。私は、不動産賃貸借の契約書に限らず「特約条項」を真っ先にチェックします。よく考えてみると、雛形に最初から印刷されていること以外に決めておいた方がいい項目が数多く出てきませんか?
私がひとつお奨めするのが、借主に「借家人賠償責任補償付火災保険」に入居期間中入ってもらい、その保険証券のコピーを貸主に提出される義務を負わせることを特約に入れることです。万一の事故に備え、貸主と借主の双方が安心できるメリットある特約です。
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